身代わり寅と牡丹のお寺

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先日、知人から小さな寅の置物を頂きました。
民芸調の可愛らしい寅でした。
聞けば、所沢の多聞院で分けてもらったもので、身代わり寅というのだそうです。
どこか部屋に飾っておこうと思ったところ、これは返さなくてはならないと言われました。
なんでも寅というのは毘沙門天の化身だそうで、身に降りかかる災いを代わりに受けてくれるというのです。
本来なら、この置物もその場で何か災いを託して奉納すべきだったのですが、可愛らしさについ土産に持ってきてしまったとのこと。
それは早く奉納しに行かなければと、三芳の三富新田の方向へと車を走らせました。
そのあたりは通称『芋街道』といい、子供の頃に学校の遠足でも芋掘りに行きました。
川越藩が開拓した広大な農地で、道路に植えられた並木や農家の雑木林が涼やかな風を呼び、私は勝手に埼玉の避暑地と名付けています。
その通りにある多福寺のところを曲がってしばらく行くと、目当ての多聞院がありました。
牡丹が有名なお寺で、毎年五月には牡丹の開花に合わせて寅祭りが行われるのだそうです。
残念ながらこの日は牡丹は見られませんでしたが、庭中に美しい花木が植えられています。
この日は蝋梅がいい香りでした。

同行者がそのひとつひとつを楽しそうに見ていたところ、庭師さんに声を掛けられました。
ここには様々な珍しい品種の椿が植わっているそうで、今度、椿を分けてくださるとのこと!なんて親切な方なのだろうと興奮しながら、広い境内を歩いていると、ん?面白い石仏を見つけました。
鬼がお相撲さんののポーズを取っています!

その横の立札には鬼の悟りとありましたので、相撲を取って何かを悟ったのでしょうか。
そう勝手に解釈しながら先へ進むと、今度は狛犬ならぬ、狛寅です。

これ、しなやかなポーズで躍動感あります!そして少しユーモラスな鬼念仏。

境内から少し外れたところには変わった神様を見つけました。
お芋の神様、いも神さまです!

『なでいも』があったので、美味しいさつまいもが食べられるようにと撫でておきました。
そうしてやっとこさ本堂です。
黄色い寅の置物がびっしり奉納してあり、お堂の周りが笑ってしまうくらい色鮮やかでした。

圧巻のミニ寅たちの中に、我が家の頂きものの寅を納め、手を合わせました。
しかし本当にこの寅よく出来ています。
姿かたちが愛くるしくて、持って帰りたくなる気持ちも分かります。
さて、境内の庭巡りコースの最後には、柔和な表情の笠地蔵さん、と、その前には石で出来た野菜と米俵がありました。

いろいろと趣向を凝らしたお寺さんでしたが、なんといっても石仏と季節の花が印象に残りました。
帰りに咲き掛けの紅梅をパチリ。

近年出来た洒落たオイモカフェで、美味しいお芋のランチを食べて帰りました。

多聞院
埼玉県所沢市大字中富1501
関越自動車道所沢ICから約5㎞ 5月1日には西武新宿線の航空公園駅から無料送迎バスが運行します。
駐車場は正面に道を隔てて二か所にあり、寺の裏側にも広く停められるスペースがあります。
入口にトイレ有。
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本記事は2014年05月29日時点での情報ですので、場合によっては適用されないこともあります。あらかじめご了承ください。
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